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生誕120年没後80年の牧野信一、小田原文学館で特別展開催中

 小田原文学館で牧野信一の特別展「牧野信一の心象風景」が開催中だ。

 牧野信一(1896~1936)は小田原生まれ。大正時代に「爪」を島崎藤村に絶賛され、その後「父を売る子」、「『悪』の同意語」など、両親をテーマとした私小説群で文壇の注目を浴びた。昭和初年以降は、郷里小田原の土地や人をモチーフにした「吊籠と月光と」、「ゼーロン」などの作品群を発表し、その境地は「ギリシャ牧野」と称された。後期は再び私小説に回帰、「心象風景」を発表した。

 牧野作品に影響を受けた作家は多く、牧野に見出された坂口安吾をはじめ、井伏鱒二、石川淳、太宰治、稲垣足穂、小島信夫、野坂昭如、後藤明生、島尾敏雄、吉行淳之介、安岡章太郎、種村季弘、池内紀など枚挙にとまがない。

 今回の企画展示では、牧野信一の書簡や写真などが展示されているほか、11月5日には、新進批評家の矢野利裕氏による講演「幻想文学としての私小説―牧野信一の世界」が行われる。会場は小田原駅から徒歩3分の国際医療福祉大学小田原キャンパス。参加費は無料だが、11月4日までに小田原市立図書館にメール/電話で申し込みが必要。

 牧野が17年間の作家生活で執筆した小説の大半は青空文庫で読むことができる。